JYDF2022

【JYDF2021 ソロの部優勝者】荒木日那さん特別インタビュー

銀髪のショートカットに、パッチリとした瞳。インタビューカメラに映る、自信と、謙虚さと、そしてカリスマ的オーラに包まれた女性こそ、2021年5月30日、兵庫県立芸術文化センターにて開催された「JYDF2021全国大会」のソロの部Pro部門で優勝した荒木 日那さんだ。

 

高校2年生である彼女がPro部門で優勝したことは、ダンス界で切削琢磨する多くの人々に影響を与えたに違いないだろう。

今回は荒木 日那さんの普段の生活や、JYDFでの経験についてたっぷりインタビューをし、彼女の魅力やバックグラウンドに迫った。

 

 

ー インタビューを受けて頂き、有難うございます。すごく素敵な髪型ですね!

宜しくお願いいたします!通信制の高校に通っているので髪型も自由なんです。オンラインで授業を受けたり、学校に行って授業を受けたり、コロナ禍になる前から色々と自由の多い学校です。

 

ー 通信制の高校を選ばれたのは、やはりダンスと何か関係があるのですか?

はい。昔から「私はダンスで生きていこう」と決めていて、勉強とダンスを両立出来る学校を探していました。今の高校には「ニューヨークダンス留学コース」というコースがあったので、この高校を選びました。クラスメイト達も、芸能や歌手を目指している子が集まっているので、色んな情報を聞きながらたくさん刺激を受けています。

普段の高校生活は、他の学校とそこまで違いはありませんが、1年に1回、1~3ヵ月ニューヨークにダンスや語学を学びに留学する機会があるんです。2021年はコロナ禍で行けなかったんですが、2022年は行く予定です。

 

ー ダンスを始めたのは何歳からですか?そのきっかけは?

ダンスは4歳から始めました。母が昔からよく洋楽を聴いていて、その影響で私も幼少期からマイケル・ジャクソンが大好きになり、ダンスを習い始める前から彼のダンスを真似て踊っていたりしていました。その姿を見た母に「ダンス習ってみたら良いんじゃない?」と勧められたのがきっかけです。

 

ー 今でも一番よく聴いているアーティストはマイケル・ジャクソンですか?

今は、韓国のタレント事務所『YG』に入ることを目指しているので、YG所属のBLACKPINKさんの楽曲をよく聴いています。今までは洋楽ばかり聴いていたのですが、高校でK-POPが流行っていることもあり、聴いてみると「こんなに歌もダンスも上手い人達がいるんだ!」と知り、そこからよくK-POPを聴くようになりました。

 

ー ダンス以外で習い事をしていたことありますか?

高校生になってコロナ禍だったこともあり、ダンスでスランプに陥ってしまい、精神的に辛い時期がありました。そこで「新しいことにチャレンジしてみよう」と思って空手を習い始めました。今も週に1回稽古に通っています。ダンスとは違う良さがあり、インスピレーションを受けています。「全身を使って表現する」という点では空手もダンスも同じだと思っていたのですが、実際に習ってみると、空手とダンスの違いはたくさんあり、その違いをダンスに色々取り入れられることに気付きました。周りは皆小さい頃から空手をやっている人たちばかりですが、ダンスをやってきたおかげで、空手の動きのニュアンスなどはすぐに掴むことが出来ました。いつか、ダンスと空手を融合した作品を作ってみたいなと思っています。

 

ー 4歳からダンスを習い始めたとのことですが、小さい頃のご自身の性格は?

今も変わっていませんが、昔から負けず嫌いで、完璧主義者です。「この振りを完璧に出来ないと嫌だ」と、完璧に出来るようになるまで母に練習を見てもらったりしていました。そのため、小さい頃から練習を積み重ねることが身についています。1つ1つ強くこだわってダンスの作品に取り組めるのは、この性格と経験のおかげだと思っています。

 

ー 負けず嫌いとの事ですが、やはりライバルは意識しますか?

負けたくないと思う憧れの人やライバルはいつも周りにいましたが、今は「過去の自分に負けたくない」という自分との闘いですね。

 

ー ダンサーになりたいという夢はダンスを習い始めてからずっとお持ちなんですか?

マイケル・ジャクソンと出会ったことがきっかけで、ダンスを習い始める前から漠然と「自分はダンスで生きていくんだ」と思っていました。その思いで今までやってきた感じです。

 

ー ご家族で他にダンスをやられている方はいるんですか?

ダンスは私だけです。母はずっとエレクトーンを弾いていました。私は実は音楽がすごく苦手で、楽器は全然弾けないんです。でも、昔から母と音楽を聴いてリズムを取ったり踊ったりしていた経験は、今に活きているのかなと思っています。

 

ー 荒木さんの小さい頃からのダンスへの情熱がすごく伝わってきますが、ダンスを辞めたいと思ったことは一度でもありますか?

何っ度もあります(笑)。完璧主義者であることは長所でもあるのですが、逆に少しでも失敗すると「もう駄目だ…」「ダンス辞めた方が良いのかな…」と落ち込んでしまう短所でもあるんです。でも「ダンス辞めたい」と思う度に、「いや、自分なら出来る!」と気持ちを奮い立たせて今まで続けてきました。

 

ー 具体的な気持ちを奮い立たせる方法を教えてもらえますか?

落ち込んだ時は、成功した有名人の方々の失敗談や挫折談などをネットで探して、その人たちが立ち直った経緯や、名言などを読んでいます。

それらを読むことで「上に上がっていく人は皆同じ苦い経験をしているんだ、今の私の挫折や悔しさは、未来のための良い経験なんだ」と思えるんです。K-POPで言うと、BTSも最初は全然うまくいかなかったりスランプがあったそうなんですが、今やアジア代表として世界に飛び立っている姿を見ているので「自分もそうなれるはず」と信じています。

ー ダンスを続けてきて良かったなぁと思う一番のことは?

貴重な経験をさせてもらえるということです。JYDF含む大舞台で踊らせて貰ったり、バックダンサーとしてメディアに出たり…。ダンスという武器を使って、普通ではなかなか出来ない経験を出来ているので、ダンスをやってきた良かったなぁと思います。

バックダンサーとしては、国内では『ゆず』さんや、『きゃりーぱみゅぱみゅ』さん、海外では小学六年生の時にジャスティン・ビーバーさんの日本公演のキッズバックダンサーとして踊ったことがあります。私を含むキッズダンサー4人と、ジャスティン・ビーバーだけで幕張メッセの舞台で踊れたのは、本当に貴重な経験でした。

 

ー そんな凄い舞台をたくさん経験されているなら、もうあまりダンスで緊張されることはないのでは?

いえ、毎回すごく緊張します!地元の小さなイベントや身近な人たちだけでの舞台でも緊張はします。緊張した時は、過去の練習を思い出して「大丈夫、いけるじゃん!」と気持ちを上げています。

 

ー 普段プライベートでの過ごし方は?

最近は、毎日のダンスの練習に加え、ニューヨークだけでなく韓国にも留学予定なので、英語と韓国語の勉強をしています。韓国語はハングル文字は読めるようになりました。表舞台に立つよりも、海外留学への準備として、自宅でモチベーションやスキルを上げていることが多いですね。両親が自宅にダンススタジオを作ってくれたので、そこでダンスの練習をしています。

 

ー ダンス練習はどのように行っているんですか?

中学生の時は毎日6時間ぐらい練習していましたが、今はダンスのスキルを高めると共に心のモチベーションを上げることに集中しているので、練習時間は決めずにリラックス時間を設けながらやっています。ストレッチも昔は30分ぐらいかけてやっていましたが、今は厳選して10分程度、毎日必ずやっています。先生やコーチはいないので、ほぼ独学で練習していて、時々母に見てもらっている感じですね。

 

ー 独学で練習されているとのことですが、ダンス教室のレッスンなどにも通われていないんですか?

特定の教室には通っていません。色んなジャンルのダンス教室に飛び込みで参加し、学んだことを家で練習しています。私の踊っているダンスがフリースタイルなんですが、様々なダンスを組み合わせて自分のフリースタイルのダンスを作り上げていくので、ジャズ・ヒップホップに加え、今はヒールも学んでいます。キレのある動きのダンスが得意なので、ジャンルにとらわれず、色々取り入れていけたらなと思っています。

 

 

自分の強みも弱みも冷静に把握し、「ダンスで生きていく」という確固たる信念と共に日々練習や海外留学準備に臨む荒木さん。

高校生とは思えないほど落ち着いているのは、幼少期から積み上げてきた努力と経験が彼女をしっかりと支えているからなのだろう。続いては、スランプに陥り、苦しい時期を迎えながらも参加したJYDFでのことを振り返ってもらった。

 

ー 改めて、JYDF2021・ソロの部 Pro部門でのご優勝、おめでとうございます。優勝した時のお気持ちを教えてください。

有難うございます!去年からスランプになり、精神的に辛い時期が続いていて「出場してもダメなんじゃないか」とは思っていたのですが、挑戦してみないと分からない!と思い立ち、チャレンジしました。JYDFに挑戦し、優勝したことで「自分なら出来る」という想いを改めて持つことが出来ました。

 

ー JYDFのエントリーは2021大会が初めてですか?

いいえ、2回目です。1回目は、高校1年生の時にSNSでJYDFのことを知りエントリーして、その時は関東大会で終わってしまいました。悔しい気持ちもあったし、JYDF2021の審査員の方々が、蛯名健一さん始め、私の知っている国内外で活躍されている方ばかりだったので、私のダンスを見てもらいたい!という思いから再チャレンジを決めました。

 

ー 1回目の参加と2回目の参加で、何か変化はありましたか。

初めてJYDFに参加した時は、振り付け有りのフリースタイルを踊ったのですが、優勝したJYDF2021では、完全即興の事前の振り付け無しのフリースタイルを踊りました。振り付け有りだと作品への自分の考えが小さくなってしまっていたのに対し、即興で踊った2021の作品は自分の心をより解放して出来たと思っています。

 

ー 振り付け無しの即興ダンス、難しくないのですか!?

小さい頃から音楽をかけて自由にダンスを踊っていたので、その経験から即興で踊ることは得意でした。最近は、振り付けを自分で考えて踊ることも多いですし、とりあえず音楽を流して踊ってみて、そこから「この動き良いかも!」と新たに発見した振りを取り入れていく…ということもよくやっています。

 

ー スランプ状態の中、JYDFエントリーを決めて、そこから気持ちの変化はありましたか?

はい。エントリーしてすぐは「怖い、失敗したらどうしよう」というネガティブな思いが強かったのですが、自分の出来る最大限をやろうと努力し、最終予選に通ってからは、少しずつ自分のやりたいことが分かってきて、決勝に行くまでには「自分なら大丈夫!」とモチベーションを上げることが出来ました。いつも何かあれば相談している母からのサポートが常にあり、すごく助けられましたね。

 

ー JYDF本番当日の全体的な雰囲気はどうでしたか?

他の出場者の方々と「皆で切磋琢磨して、お互い高め合おう!」というとても素敵な空間でした。皆フレンドリーで明るく、年齢問わず色んな方とお話する機会がありました。私の出番の前に踊られていた出場者の方が、すごく人を惹きつけるパワーがあり、リハーサルの時から圧倒されて「負けずに頑張らなきゃ!」と気合が入りました。

 

ー JYDFのリハーサル~本番のことを教えてください。

私は即興で踊るスタイルなので、リハーサルは本番でのダンスの作品を整えるべく、場の雰囲気を掴むことに集中しました。結果的にはリハーサルと本番では全然違う振りで踊りましたが、「負けない!」という気持ちは本番、リハーサル共にありました。

本番では色んな人が自分だけを見てくれているので、皆さんからの目線をパワーに変えて、リハーサルの何倍も力強く踊りました。結果がつくものなので「どんな結果になるんだろう」とすごく緊張したんですが、踊り始めてからは結果にとらわれず、自分の表現したいものをしっかり伝えられて良かったなと思います。

実は会場に来る途中に、空港に携帯を忘れてしまうという事件があり、本番直前までソワソワしていたのですが、そのソワソワすらも本番にぶつけました(笑)とにかく審査員の人や会場にいる人に自分のダンスを見てもらえる嬉しさを舞台裏で噛みしめていましたね。

 

ー JYDFに参加して良かったこと、優勝したこと以外にあれば教えてください。

憧れの審査員の方々にダンスを見てもらえたこと、素敵な他の出場者の方々との出会いがあったこと、コロナ禍でありながら大きな舞台で踊らせてもらえたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

ー 最後に、JYDFにこれからエントリーする人にアドバイスをお願いします!

私自身、辛かった時期がありましたが、JYDFにエントリーしたことで、自分の気持ちや人生を変えることが出来ました。これからもっと上に上がっていきたい!という人は本当にJYDFにエントリーして欲しいです。どんな結果であっても、エントリーし、チャレンジすること自体が凄いことなんだと思って欲しい。ぜひ皆さんに挑戦してもらい、素敵な経験をしてもらいたいと思っています。

 

 

「即興で踊るのが得意」と言い切れるのは、天性の才能を持っているからだけではない。彼女が数え切れないほどの場数を踏み、練習を重ね、今まで経験してきたあらゆる動きが心と体に染み付いているからこそである。

目標に向かって苦難を乗り越えながら突き進んでいく彼女の輝かしい功績を、日本に限らず、海外メディアで目にする日は間違いなく近い未来に訪れるだろう。

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