海外でも人気!日本舞踊の特徴やバレエとの違いを解説

そもそも日本舞踊はどんな踊り?

日本舞踊とは、日本の伝統芸能の1つである歌舞伎から生まれた舞踊です。江戸時代に発祥した舞踊で、歌舞伎の要素を取り入れた演目が多い特徴を持ちます。日本舞踊には、独自の流派を持つため、現在では120以上に渡るともいわれています。どの流派も週に1~2回の稽古を3年以上続ければ、努力次第で師範の資格を得られます。日本舞踊では、基本的に着物を着用します。また、演目によっては、手足を使って優雅さを表現するために傘や扇子を持ちながら踊ることもあります。また、日本舞踊では、武士や老婆、動物まで幅広い役を演じるため、高度な技と表現力が必要になります。一見、簡単に見えても実際に踊ると意外と難しいため、プロになるには数年に渡る修行に参加しなければなりません。しかし、誰でも習得が可能なので、他のダンスと同じように継続的な練習を繰り返すことが大切です。

日本舞踊の種類

日本舞踊には、おもに3つの種類にわけられます。「歌舞伎舞踊」「上方舞」「新舞踊」について詳しく解説します。

歌舞伎舞踊

歌舞伎の由来は「傾く(かぶく)」から来ています。「かぶく」とは、派手な服を着て町を歩いていた人を「かぶき者」と呼んだことから生まれたようです。もともとは大衆向けの演劇として発展した踊りで、誰にでも理解できる内容で人気を得たといわれています。歌舞伎舞踊は、「出雲の阿国(いずものおくに)」という女性が踊った「歌舞伎踊り」が発祥といわれています。後に「歌舞伎踊り」が現代のストーリー性を持つ歌舞伎に変化していきます。歌舞伎は、日本の三大国劇である「能楽」「人形浄瑠璃」と並びます。また、舞台に登場する人物はすべて男性が演じるため、女性役も男性が演じます。また、歌舞伎は、音楽・踊り・演技の3つが重要な要素になります。音楽は、三味線と歌で構成されており、踊りは華麗な動作が基本とされています。そして演技では、一つひとつの感情表現を大げさに表現するのが基本です。歌舞伎を観る機会があれば、感情表現に注目すると面白い発見があるかもしれません。

上方舞

上方舞(かみがたまい)は、京都と大阪で生まれた日本舞踊の1つで、1800年頃から江戸時代の末期まで続いたとされています。おもに宴の席で踊られていたので、ほこりを立てないように小さな空間でも踊れるように構成されています。びょうぶを立て、しょくだいにロウソクを灯して踊られていたことの名残です。上方舞には、歌舞伎と人形浄瑠璃の要素を加えられているため、優雅で落ち着いた踊りが特徴です。女性の心理を表現する演目が多いため、演者は感情を踊りで表現することが求められます。関西方面では主流でしたが、関東に伝わったのは昭和時代に入ってからのことです。ちなみに京都の舞妓が座敷で踊る演目も上方舞になります。

新舞踊

新舞踊とは、日本舞踊をもっと理解しやすくした踊りです。現代の人になじみのある音楽に自由な振り付けを創作して踊ります。傘や扇子、木の枝を使いながら踊ることもあります。カラオケで歌われるような演歌や歌謡曲に合わせて踊られるケースが多く、地域のイベントで披露される機会があります。新舞踊は、他の日本舞踊と比べて歴史が非常に浅いですが、テレビやラジオが家庭に置かれた頃から知られるようになりました。特に年齢層が高い女性に人気の踊りで、趣味で始める人もいます。最近では、習い事として楽しむ人が増えており、日本が好きな海外の人にも人気です。

日本舞踊を踊るメリットは?

着物を着こなして優雅に踊る日本舞踊にあこがれる人も多いでしょう。日本舞踊を踊るメリットについて紹介します。

礼儀作法が身に付く

日本舞踊では、丁寧な話し方や礼儀作法を身に付けられます。未成年の子どもであっても、大人と同等に扱われるため、社会人になるまでに正しい礼儀を学ぶことができます。日本舞踊の練習では、礼に始まり、礼に終わるため、普段とは違う緊張感で気を引き締めます。練習場所では、目上の人や弟子に対する配慮の仕方を身に付けられるので、早いうちから人間関係を学べます。

感性が豊かになる

日本舞踊は、現代の音楽とは異なるリズムと歌が加わるので、日本の伝統文化を同時に学ぶ機会になります。発声や発音の仕方が現代の言葉とは違うので、最初は理解できないかもしれませんが、日本独特の言葉を知ることができます。また、古くから続く日本の伝統を踊りで表現するため、高度な表現力と技が求められます。120以上の流派が存在していることから、日本舞踊の表現や技がさまざまスタイルが広められています。また、踊り手が着ている着物は季節ごとに変わったり、演じる役に応じた着こなしがあります。特に「和の心」を重視されるため、あらゆる物事への思いやりや敬意、感謝の心を思い出させるのではないでしょうか。

姿勢が良くなる

着物を着たことがある人であればわかると思いますが、姿勢が良くなった経験があるでしょう。着物が崩れないように、帯でしっかりと止めるため、自然に背筋が伸びます。日本舞踊でも姿勢を保ちながら踊るため、立ち振る舞いがきれいになります。最近では、猫背になりがちな人も増えているため、日本舞踊で気持ちと姿勢を引き締めてみてもいいでしょう。かつては身体の弱い人には日本舞踊を習わせるといった慣習があったくらいです。身体が弱い人にでもできるため、継続することで身体も丈夫になるといわれています。本来の姿勢を保ちながら足腰を使った動きを行うので、何歳になっても健康でいられます。

日本舞踊とバレエとの違いは?

日本舞踊とバレエに共通点があることはご存知でしょうか?一見、違いがあるように見えますが、実はどちらも重心を使う踊りです。2つの違いは、重心の位置が異なる点です。日本舞踊では、重心を下に置くのが基本とされています。一方でバレエでは、身体を上に引き上げるように重心の位置が高いのです。日本舞踊では、内また・なで肩が基本姿勢ですが、下半身の筋力を多く使います。バレエでは、身体を大きく使って優雅に表現することが求められます。日本舞踊はバレエのように跳躍することはありませんが、静かにゆっくりと踊るには相当な筋力が必要になります。見る側にとっては、少ししか動いていないように見えても、隠れたところで激しい運動量になるようです。

実際に日本舞踊を見てみよう!

日本で育った人であれば、1度は日本舞踊を観たことがあるかもしれません。きれいな着物を着た女性が優雅に踊る姿にあこがれる人も多いでしょう。ここまで紹介してきたように、日本舞踊では正しい姿勢と足腰、礼儀作法、表現が求められます。古くから伝わってきた日本の伝統芸能を現代でも習い事として人気の踊りです。こちらの動画では、1人の女性が音楽に合わせながら踊ります。実際に真似すると体力を使う動きなので、興味のある人はぜひ見ながら真似してみるといいでしょう。

まとめ

本記事では、日本舞踊について紹介しました。舞台やメディアで見たことがある人にとっては、何となく知っている踊りであることが多いでしょう。しかし、江戸時代から続く踊りを現代でも学べたり、観たりできるため、日本の文化のなかでも誇らしい伝統芸能です。最近では、海外の人も習うくらい日本の文化は注目されています。日本舞踊について少し知っているだけでも、話のネタになるでしょう。日本舞踊に興味のある人は、ぜひ挑戦してみてください。

related posts